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「会社の目的を考える」スタッフのつぶやき③

公開日:2021年7月1日
更新日:2022年12月20日

社会を取り巻く様々な状況の変化に対応しようと,新しい業種や事業内容に挑戦するという会社様からご相談いただく事が増えてきています。特に痒い所に手が届く多様な『代行サービス』が日々生まれているなと感じます。先日も,意外な事業目的のご相談を受け,勉強になりました。

まずは,事業目的と登記の関係について軽く触れたいと思います。

会社の事業内容は予め定款で『会社の目的』として定める必要があり,この目的の範囲内に限って権利能力を有します。そしてこの『会社の目的』は登記をする必要があります。どんな事業をしているのか,これからやっていこうとしているのか,株主や取引関係者に対して明確にすることで取引の安全を図るためです。

この『会社の目的』として定める内容には3つの要件があり

①営利性:営利事業であること

②適法性:違法な事業でないこと

③明確・具体性:事業内容が客観的に分かること
が求められます。

さて,今回ご依頼のあった会社様は,生活の様々な場面の手続きに関する代行サービスを提供していかれるようです。終活のサポート,遺品整理に関する諸々,墓参りの代行。家族の形が少しづつ変化している中,様々なニーズが生まれているんだなとしみじみ感じました。

そんな中,目を引く内容が…『巡礼代行サービス』ですと⁉

病気や高齢のため八十八ヶ所などにお参りしたいけれど行けないという方の為に,代わりに巡礼し,納札をおさめ,巡礼の状況についてメールや葉書で報告してもらえたりもするサービスだそうで,調べてみると実際に同様のサービスが幾つもあり驚きました。代行サービスでもご利益は自ら巡礼するのと変わらないとのことで,何事も気持ちが大事だということなのかなと感じます。

今回ご依頼いただいた事業内容はいずれも①営利性,②適法性に問題は無く,③の明確・具体性については登記例が少ないので,記載内容に少し気を使いましたが,無事登記完了しました。

社会を取り巻く様々な状況の変化によって新たなニーズが生まれたり,新しいサービスの誕生によって隠れていたニーズが明らかになったりします。そんなニーズの変化に細やかに対応しようとする事業者の皆様に登記の面でお役に立てたらと思います。

新しい事業が思い浮かんだという方は定款の変更が必要か,あるいは新しく会社を設立するべきか等,是非ご相談ください!

以下余談ですが,巡礼代行サービスについて調べていると,こんなサービスもあることを知りました。

八十八ヶ所を88番札所から回る事を逆打ちといいますが,一部都市伝説でこの逆打ちをすると不吉な事が起こるといわれているそうです(順打ちをしている=逆回りの弘法大師と出会いやすくなってご利益が倍という話もあるそうです)
そして,代行でこの逆打ちをして誰かを呪ってくれるというサービスがあるとか…
人を呪っても基本的には刑法には触れません(方法次第で脅迫罪などが成立する場合がありますのでご注意ください)
こうなると『呪いの代行』も②の適法性をクリアできて登記できる…のでしょうか?(公序良俗に反するということでNGかもしれません)

もしそのような事業目的が登記されている例をご存じでしたら後学のため教えて下されば幸いです。
ニーズの数だけ事業もあるんだなという思いを強くした次第です。